どうか今日だけはこの話を聞いてほしい

2020年4月14日

2019年のM-1グランプリは、決勝初進出のコンビがほとんどという、あまりこれまでになかった展開の年でした。 

今日は、視聴者を色んな意味で驚かせているであろう「ぺこぱ」というコンビの話をしたいと思います。

私は、2014年に初めて彼らを知りました。 

当時は、まだぺこぱのことを知っている人は少なかったんじゃないかと思います。

そのときは松陰寺さんに直接メールしてCDを買ったりした時代で、地道な活動をされている感じでした。(今でもメールして頼んだら売ってくれるのかもしれないけど笑)

初めて見たときからネタの発想や笑わせ方が自分好みだったから応援していました。

でも、今になって思えば、応援していたもうひとつの理由は芸歴も長くて売れてないのにめげずに頑張っているし、人間的に憎めなかったということもあったかもしれません。

とても不思議な理由ですけどね。

そして、どこか自分のことと重ねて見ていたんです。

数年前まではM-1にも2回戦か3回戦敗退って感じで、全く評価されていないわけではなかったでしょうが、素人目にも「うーん難しいかな」という感じで、Gyaoで配信される3回戦動画で見れたらいいほうだなあと思ってて。

その5年前、失恋した自分に対する自虐やヤケクソの意味もこめて「ぺこぱがM-1の決勝に出るなんて、私が結婚するのと同じくらい難しいと思う」とツイッターに投稿していました。

人生、大体これはこうなるかなという予想通りになることもあるけど、やってみないとわからないこともあるっていうのは、こういう出来事が起きることを指しているのだと思います。

応援しているの立場で言うのも変だけど、2人にはお笑い以外に向いていることがあるのかも、と思ったこともありました。

私はこの数年間、M-1以外では時々ツイッターや活動情報を見ていたくらいですが、なんとなく「もうそろそろやめてしまうのではないかな」と思ったタイミングもありました

実際に「この時、実はやめようと思っていました」という発言をしていたのを聞いたことがあります。どのくらい本気で思っていたかはわかりませんが、やめようと思ったことが何度かあったのは事実のはずです。

だけど何か、才能の欠片が何か花咲いてほしいと思ってずっと陰ながら見守っていました。 

最初からすべてのスタイルを知っているわけではありませんが、彼らは漫才のスタイルをこれまでずーーっと変え続けてきていたからです。

ボケとツッコミの立場も以前は逆でした。

M-1で礼二さんにもキャラが確立されていないと指摘受けてましたが、ボケのシュウペイくんは、同じようなことをいろんなところでいろんな人に言われてきたと思います。

私はぺこぱのファンになってから、知っている限りのお笑い好きの人にはほぼ全員、動画を見てほしいと言いました。

みんな面白いと言ってくれましたが、シュウペイくんに関してはあまり良くないコメントが返ってくることも多く、私の母は「松陰寺くんはとても面白いけどシュウペイくんは印象がない」と言ってました。

圧倒的に印象は松陰寺で、彼は自分の在り方について考えることもあったのではないでしょうか。もし私が彼の立場だったら「やめない」っていう選択は絶対にできないと思います。

誰もそんなこと評価しないかもしれないけど、彼があのキャラクターでずっとやめずにここまでやってきたということ、私は本当にそれが結構すごいと思っています。

そして、松陰寺くんも、そういうふうに思われがちな「シュウペイくんを活かすネタを完成させるまでやめなかった」というところもあります。

素の面白さもさることながら、応援し続けていた理由は、そういうこともあります。

私が知る限り、最初は普通にスーツを着て王道っぽい漫才をやっていて、今の着物キャラ漫才の前はヒップホップ漫才?をやっていて、かなりガラっと手法を変え今の「松陰寺」スタイルに変わり、それからも数年苦戦して今の「誰も傷つけない漫才」を編み出したようです。

少しいい感じになってきたな、と思ってたら2019年におもしろ荘に奇跡的に出演できて。

確かにすごいけど存在感のインパクト採用もあるかもしれない(ごめん)と思っていたら、何故か優勝していて。

まぐれかもしれないけどすごい!と思って半信半疑で見ていたら、その後もあまりテレビとか出れていないようだということを知り。

ああ、やっぱりか…と思ってたら、M-1で初めて準々決勝の壁を超えて準決勝に行き、ここまででも上出来だし、今年はうまくいっても準決勝までかなあと思ってたら見事決勝に進出していました。

しかも、決勝でも怒られる枠になるのではないかと最後まで心配していたら、まさかあの和牛を破るという奇跡が起こりました。

こういうことを言うとまたあれですが、私はぺこぱのファンではあるけど、本当は和牛に優勝してほしいと思っていました。 

和牛も本当に苦しくて悔しい思いをしてきたと思いますし、和牛の2本目のネタ(多分これが勝負だと思って取っておいたであろうネタ)を見たくて仕方がなかったです。

実力で言うなら和牛が決勝に進出するのが順当だったのではないか、と今でも思っています(とはいえ今年は2016年や2017年ほどの勢いがなかった気がするし、和牛がストレートで上がれなかったことにも納得はしていますが)。

同じように思ってる人も、ぺこぱに3位をもっていかれたことに対してなんだか腑に落ちないと思っている人もいるであろう中で、もし一つぺこぱが和牛に勝っていたと言えることがあるとしたら「変わっていく貪欲さがあった」ということじゃないかなと思います。

自分が何が苦手で何が得意なのか、自分の強みが何なのか、勝負できる点があるとするならどんなことなのか、ということに着目して、ずっとそれと向き合い続けてきたんだなあ、と思います。

売れない時代が続き、もうそろそろ潮時だと思って「やめる」選択肢を選んだ芸人さんは何組もいると思います。

ここまで来てもやめないという選択肢をとっている彼らがいることは正直意外で、ここに来てこういうスタイルで結果を出しているということは、予想だにしませんでした。

申し訳ないけど、本当に難しいと思っていたので、彼らの粘り強さは大したものです。

「これじゃないかも」と思って次に挑戦し、「これも変えたほうが良いかも」と思ってまた全然違うことをやり、その繰り返しだったのではないかと思います。

万人が何か「これはすごいな」と評価する才能に溢れていなくても、それでも何か実現できる可能性みたいなものを見た気がします。

笑いの形は様々ですが、来年もまたM-1を楽しみにしたいと思います。

スポンサーリンク

雑記

Posted by やよい