31歳のある日、突然仕事に行けなくなった話

2020年4月14日

私は31歳になったばかりの2020年3月、突然仕事に行けなくなりました。

というか、それまで勢いでなんとか行っていたけど、その勢いが全くつかなくなったというのが一番近いのかもしれない。

明らかに自分が疲弊していたのはわかっていたけど、もう行かないと仕方がないと、転職して1年もたたないうちに辞めてどうすると、生きるためには仕方がないのだとなんとか言い聞かせてやってきた。

1月の年末年始の休暇が終わった時は、今までになく鬱々とした気持ちになっていた。

一言で言えば「仕事に行くのが嫌」ということになるのだろうけど、前の会社で感じていた「あー面倒くさいな」というレベルのものではなかった。

とにかく行くということを避けられるなら何でもいいから何か正当な理由がないものだろうかと思ったりした。

けど、とにかく「明日自分がインフルエンザになるとかそういうことでも無い限り休むという選択肢は許されないので、仕方なく諦めて行く」そういう感じ。

鬱々した気持ちだったが、暗い態度でいても仕方がないので努めて、できる限り普通に明るい感じで振る舞っていた。

休み明けもそんな感じでかなりきついけど、やはり休み明け1日目よりは2日目のほうが行きやすい傾向があるため、我慢して出勤してしまえば…と思い、なんとか頑張った。

その調子でなんとかして繁忙期をやり過ごし、「子どもができたら体調的に通い続けられないことを言い訳にして辞めてもいい。それまでは頑張ろう」と思っていた。

というか、それを励みにして頑張っていた。

もし「無期限で働かないといけない」と思っていたら、どうなっていたんだろう。

絶対続けるのは無理だと感じてしまってもっと早くに行けなくなっていたか、それとも逆にどちらかだったと思う。

行けなくなる前に、何か決定的な出来事が起きたわけではなかった。

でも、引き金となった出来事にはいくつか心当たりがあった。

最近コロナウイルスの関係で時差出勤やリモートワークを取り入れている企業が多い中、うちの会社はあまりそういう対応をする気配はなかった(今は時は進み、お子さんがいる方は届け出た上で休んでも良いみたいな感じになっている)。

ただ、多くの人が出入りする環境にもかかわらずそういった動きはなく、実際私も勤務先ではたくさんお客さんと接する機会があったのです。

それに毎日満員電車に揺られて1時間半の距離を通勤するし、自分が感染しても全くおかしくないと感じた。

私はこんな自分の好きでもない仕事のためにコロナウイルスにかかる危険があり、最悪命を落とす覚悟をして出勤しないといけないのか?」とそのとき思ったんです。

ちょっと意味がわからないようなわかるような微妙な感じですけどね。冷静になったときの感想としては。

最低だと思う人もいるかもしれませんが、そう思った途端に私は本当に嫌だと思ってしまい、突然出勤したくなくなりました。

それまでも前述の通り全く行きたくなかったですが、それとはちょっと違う次元で「本当に行かなきゃいけないのか」と思ってしまうようになりました。

仕事をしている以上、どんな場所でもそれなりのリスクを背負うことになるし、そのあたりは覚悟して社員にならなくてはならないと思っています。

前の会社でも「ここで地震が起きたらお客さんを守るために全員を避難誘導等の対応し、自分は最後に逃げることになるから多分犠牲になるんだろうな。従業員としてそれはもう諦めるしかなかろう」と頭の片隅で思いながら仕事していた。

前の会社も好きではなかったですが、それはなんとなく覚悟していた。

今の会社も同じはずなのに、なぜか今回は猛烈に出社拒否したくなっていた。

そして、最近の私はいつもにまして先輩から攻撃されることが多くなった。

この先輩は他の社員や他の部署の人からも苦手だと言っている人が多く、同じチームの一番近くで仕事している私も日々かわすのに疲れきっており、都度都度対応に困っていた。

この先輩が厄介なのは、自分が「これがいい」と思っているやり方を他人にも割と強要するタイプで、本人は良かれと思ってやっているようですがそれが拷問のようなのです。

ある程度の「正解」に近いものがあることなら指摘されてもまだいいのです。

でも、その先輩のやり方は現実的にはそこまでやっていたら体いくつあっても持たないし、限界があると思われることまで推奨(というか強要)してきます。

先輩は体力も気力も有り余っていていくらでもやりたいタイプなので、自分はそういうふうにしたらいい。ある意味、意識が高くて立派だとは思うし。

でも私にも同じレベルで仕事しろというのは、気力もやる気も正直無い中で余力を振り絞ってやっている私(正直今は、最低限自分がやらなきゃいけない仕事だけやっていたい)にとってはかなり辛いものがある。

もちろん、そのやり方は自分に合っていないと思うなら従わなければ良い話であり、私も前の会社の上司に対応していた時のように、反論したりすればいいことで。

でもそこで言い争っても時間ばかりが過ぎるし、またやらなくてはならない仕事に費やせる時間が減るので、私は特に何も反論したりしないようにしてた。

私の意見も一応は聞いてくれるかもしれないけど、最終的にはその人が正しいと思うやり方や持論についてこんこんと説かれるだけで、また時間がかかるであろうことは(他の人にそうしているのを見て)よくよく知っているから。

とにかくそういうときの話が長いのです。

しかも、その人にいったん「こいつはだめだ」と思われたら、事あるごとに小姑のように指摘されるようになった。

新人の私にもあまり適切ではない点があったのは認めますが、上司が「こう言え」と言ったことを伝えたら他の社員に叱られたり、上司と他の人との板挟みになるケースも増えたし。

これってある意味どの職場でも新人あるあるなんで、ある程度は仕方ないとは思ってますけどね。でもとにかく、時が解決するだろうとは思えなかったんです。

この職場ではまともな人も多いから仕事がやりやすくなると当初思っていたけど大きな間違いで、私はますます疲弊し、もう何を言われても聞きたくなくなり、これでかなり最近きつくなってきました。

恐らく、このあたりのことが出勤拒否の症状になった直接の原因なのではないか?と、読んでくれた人は思うかもしれないし、私もそう考えていた。

でも、このことだけが原因とは限らず、これ以外の様々なことの積み重ね、そして過去からの私の認知の歪みの積み重ねなどがすべて複合して起きた状態なのかもしれない。

メンタルの不調から仕事に行けなくなった人の話をネットで見てて「発症した直前や最近の出来事が原因だと考えている人が多いと思うが、実は今までのいろんな出来事の積み重ねで発症し、その最後の出来事は決定打となっただけ」という見方を見つけて、自分の場合もそうかなとなんとなく腑に落ちた。

まず自分の場合、元々「仕事をやりたい」「社会に貢献したい」「できれば自分の得意なことや好きなことを仕事にしたい」という根本的な欲求は割と強い(強かった)と思っており、新卒の時からどんな会社に行って何ができるのだろうと働くことにワクワクしていた。

アルバイトで雇ってもらった保険会社での仕事はとても楽しく、学生でありながら契約社員にしてもらったこともあったし、働くって面白い…!と思っていました。

そんな私が今なぜか「働くこと」自体に消極的になっている。

できれば仕事せずに行きていきたい、組織に所属するなんて自分には向いていない、いや、、できない、できないっていうか無理、と思っている。

自分でも同一人物がここまでになるとは思ってませんでした。

これも「今この会社に来ていきなりそうなってしまった」というよりは、これまでの挫折経験やすべてのことを踏まえてこうなったと言ったほうがいいような。

今回の原因と考えていた出来事は「決定的になった一撃」でしかなかったのかもしれない。

自分をどこかで無意識にごまかして転職活動し、前の会社を辞めたというところから問題だったのかもしれない。

「働きたい」という欲求自体は、少なくとも今の会社に入るまでは自覚していました。

大卒で就職活動に失敗して以来ずっと仕事をせず「家事手伝い」になっている年上の従兄弟のことも今まで「さすがにバイトするとか就活するとか、もう少し頑張れよ」と少しだけ差別的な目で見ていました。

その人の事情は私とは違うけど、今となってはそんなふうに思ってしまって申し訳なかったと思う。

私も、これまで日常生活を(多分無意識のうちにやっていたことも、意識的なことも含み)一応普通に送れていた。

どうしてもギリギリまで仕事に行けなかった日々が続いたとか、逆に休みだしてからは朝早く覚醒しすぎて、それからずっと会社のこと考えて寝れないとか、そういうのはあったけど。

最初の1日は、とにかく行けなくてとりあえず体調不良といって休んだ。ある意味体の症状も出ているので、そういうことにした。

どうしても電話もできないような精神状態で、鬱ってこんな感じの状態だろうなと思っていた。でも、連絡しないといけないからメールを送った。

それを数日間続けてしまったけど、さすがに「体調不良」と言い続けるわけにもいかなくて、3日目に正直に「精神的な理由」ということを課長に連絡し、とりあえず心療内科を受診した。

こういう時って、精神的な理由だということを言いにくくて、それを言って休むくらいだったら無理して出勤してしまうという人も多い気がした。

私も、正直「精神的な理由で無理」ってなっても、それを打ち明けて今後気まずいことになるくらいだったら我慢して行ったほうがかえって今後の心的負担が少ないかなと思ったので。

今回言えたのは、正直もう辞めるという選択肢を視野に入れていたからというのも正直あるかもしれない。

正直、休職=もう無理って私は解釈していたのですが、復職して頑張っている人もいることを踏まえると、本当に凄いと思う。

私の前の会社でも2件そういうケースを知っていて、そのうち1人は辞めてしまったけど、もう1人は1年間うつ病で休職したあと、復職している。

男性だったので大黒柱で働かざるをえなかったということもあるだろうし、長い年月勤めていて同僚からの信頼もあったからまだ戻りやすかったのかな。今も普通に働いておられるし、ある意味私と同じで割と軽症だったのかもしれない。

思うに、その会社で働いている歴が短ければ短いほど、休んでしまう人で復職できるパーセンテージが低くなっているんじゃないかと推測する。統計は見たことないけど。

結局適応障害のようなことというか、新しい職場でうまくやっていけなくて辞めるっていうケースのほうが多そう。

部署異動でっていう人も多いんだろうけど、そういう人は前の部署ではうまくいっていたのだと思うから、まだ自分ができるんじゃないかと思いやすいだろうし。

話がずれたけど、私は抵抗ありながらも、近くに評判の良さそうな心療内科があったので行ってきた。

会社に明日から行けるかと言われたらもう難しい気がしていたし、診断も出なければとりあえず休み続けるというのも難しく、上司を困らせることになるから。

朝早くに受付して、順番が呼ばれたのはもう15時くらいだった。心療内科って本当に大変だなあと思う。

まあ、初めて会った人にそこまで長い時間を割いて詳しく説明するのも難しいので、要点をかいつまんで話した。

こういう時、一部の情報だけ言うことになると文脈で予想しなきゃいけない部分が多いし、言い方が悪ければ誤解につながるので、説明の仕方には気をつけた。

とにかく今の状況で行けなくなってしまったということと、原因としては職場が自分より高いレベルの場所だと思うということと、一緒に仕事している人が自分と正反対のタイプできついことを重点的に話した。

お医者さんは私の話しぶりを見て私の性格などもほぼ理解されていたようで、一を聞いて十を知るという感じの人で、なんとなく事の全貌を掴んでくれていた。

診断書を書くので少し休み、できるなら部署を変えてもらえと言われた。

そのほか色々とコメントをいただいたのだけど、このお医者さんの話が雑談のようであってかなり深かったと感じた。

どのような高校、大学を卒業したのかと聞かれて、まあ「かなり高学歴だ」と殆どの人に言われるのでまたそう言われるのだろうなと思い、高校名と大学名を答えた。

すると「大したことはないね」と言われた。

お医者さんは「私は○○県の進学校に行っていて、正直、東大を目指すのが普通だった。阪大で少し落ちこぼれ、神大だったら最下位の人が目指していたかな」という話をした。

ちょっと驚いたし、人によってはムッとする人もいるのかもしれないけど、私は嫌な気はしなかった。こんなことを言われたのは初めてだったので。

「このくらいの高校に行くと、1人くらい本当に天才的な人がいてね。もう天性の才能ともいえるようなもので、どんな努力をしても叶わないなということを思い知った。若くして大谷翔平に出会ってしまったんだよ」とお医者さんは言った。

「私から言わせてもらうとあなたなんて、ただちょっとだけ頭がいいお姉ちゃんだよ。大した事ないし、別に普通だよ。一体何を目指しているの?」と。

私は向上心が高いことが自分の長所だと思っていたけれど、これがかえって自分を苦しめているのではないかと今更ながら気がついた。

進学校と言われる高校に行っていて、それなりの大学を卒業しているので、自分は何かある程度の地位につきたいという考えや、何か貢献したいという願望が強かった。

だから有名な企業だったり、より名の知れたところで活躍しなくてはならないといったような変なプレッシャーも勝手に自分で抱えていた。

それなのに自分は優秀ではない、ということを自覚し、他の人と比べて会社でうまくやっていけていないということに劣等感を感じていた。

今回も、ぬるま湯のような前職の会社ではかなり楽勝だと思っていたので、自分がより高いものを目指したいと思って、同業他社の中でもレベルが高いことを求められるところに転職した。

本当は、正直会社説明会の時点で自分には合わないな、自分の行くところではないかもしれないと思っていた。

でも、それを自覚しながらも、ここで馴染んで頑張れたら自己肯定感が高まるのではないか、自分でもこういう会社でやっていけるという自信にもつながるのではないかと思ってそのまま運良く受かったことを良いことに、入社した。

研修でも色々と瞬発力を求められたり、ただ仕事をやるだけでは駄目だとか、飛び込みでこれをやってこいとか、かなりの負担がかかるようなことを色々させられて、プレッシャーをかけられたような気がした。

今から思えばすべてが自分の性格には合っていなかったのかもしれない。

でも、自分はもっと「上を目指さないといけない」とずっと思っていた。

夫にも前から「正社員じゃなくてもいい」と言われていたけど、正社員じゃないと駄目だと、自分にはそういうキャリアで成功しなくてはならないという強迫観念に近い考え方を持っていた。

診察が終わってから上司に電話した。

この上司がとても良い人で、私は会社の人と話しているにもかかわらず、号泣してしまって途中から言葉にならなかった。

まず、出社しようとは思うがなかなか行けなくて申し訳ないと説明し、何か気になっている理由があるのかと聞かれた。

情けないけど決定的にこれがなければ出勤できるとか、そういうことがあるわけではなく、自分でもよくわからないと答えた。

上司も私と一緒に仕事している先輩が私にあれこれ言っているのを日々見ているので何か察しているのか、「何かもしかして、誰かにこうしろ、ああしろと言われるとかそういうのが原因か」と聞かれた。

でも、そうです、とは言えなかった。

その先輩に対して申し訳ないと思っているからというのもあるかもしれないけど、実際にその人が悪いとは言い切れないと私も思うし、ただ合わないだけだった。

それに、今回は私のほうにもっと深い原因があり、先輩から明らかなパワハラを受けているわけではないし、その人のせいにするつもりはなかったから。

「実は入社したときから、自分にはこの仕事が合わないのかなと思っていた」と言った。

上司はいやいや、という感じで笑っていた。

「合わない、ねえ…あなたはどう思っているか知らないけど、私はあなたの仕事ぶりはとても高く評価していますよ。それはもっと上の立場の人にも伝えていますし、思った以上によく仕事してくれています。自己評価が低いだけで、みんなそう思っているからね」 と言ってくれた。

私が職場のレベルについていけていないことは明らかで、上司は私のことを「自己評価が低い」と言うけど、前の職場で「私はできてない」と思ったことは一度もなかったので、私の自己評価がそこまで低いわけではないと思う。

でも、転職したばかりな上にこんな荷物でしかない私に対して「あなたのことは何度も言うけどかなり評価しています。もし明日も言ったほうがよかったら何回でも言うよ。」と言ってくれて、本当にありがたかった。

私がかなり泣いてしまって尋常でない受け答えしかできなかったので、やはり少しだけ休職させてもらうことになったけど、とにかく仕事のことをまだ考えられない。

「自分が落ちこぼれでも別にいい」と頭では分かっていても、どういうふうにその境地を体得したらいいのかずっとわからなかった。

自分の身の丈にあった、比較的負担が少なく楽な仕事を選べなかった。

これからのことも、どうしようかまだ迷っている。

ずっと躓きかけていたのを無理やり持ち直し続けて生きてきたけど、31歳にして初めて挫折という形になった気がする。

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